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2021年10月19日

【第3回】「ロナルド・ヴェンチューラ展―内省」ヴェンチューラの彫刻作品から見えてくるもの

軽井沢ニューアートミュージアムで開催中の、フィリピン出身の現代アーティスト:ロナルド・ヴェンチューラの日本の美術館では初となる個展「ロナルド・ヴェンチューラ展-内省」。連載最終回の今回は、学芸員の石川さんにヴェンチューラの一見変わった作風について、代表的な彫刻作品をもとに解説していただきました。

■ヴェンチューラの彫刻
展覧会入口で迎えてくれるのは《ボブロ》という高さが3m超の虹色の目をした犬の作品。黄金の首輪をして金色の骨を抱える姿はまるで、神社の狛犬やお寺の金剛力士像のようで、存在感があります。ヴェンチューラの彫刻は、かわいらしさと不気味さ、洗練と無骨さ、ヴァーチャルとリアル、世俗と神聖の間を行き来しながらアートの多様な可能性を感じさせてくれます。

左:《ボブロ》2018年 ガラス繊維、樹脂、アクリル、金箔 317.5×165.1×137.2 cm 右:《ヒューマニムガール》2011年 ガラス繊維、樹脂、ステンレススチール 67.3×114.9×52.0 cm

左:《ボブロ》2018年 ガラス繊維、樹脂、アクリル、金箔 317.5×165.1×137.2 cm
右:《ヒューマニムガール》2011年 ガラス繊維、樹脂、ステンレススチール 67.3×114.9×52.0 cm

特に第2展示室では色とりどりのクマの群像《ヒューマニムシリーズ》やLEDライトで光る二つの《ユニコーンの角》、ギリシャ彫刻とロボットをミックスしたような風貌の《ヒューマニムガール》が目にとびこんできます。おもちゃ箱を開けたような楽しさと同時に、これらが作者の好む"矛盾"に満ちた遊びの空間へと私たちを誘い出してくれます。

《ヒューマニムシリーズ》2021年 ガラス繊維、樹脂、ポリウレタンペイント 21.0×24.1×30.5 cm

《ヒューマニムシリーズ》2021年 ガラス繊維、樹脂、ポリウレタンペイント 各21.0×24.1×30.5 cm

ヴェンチューラの作品にはプラスチック、ガラス繊維が使用されており、鉄、石、木など個々に表情の違う自然素材を用いた従来の彫刻とは異なり、いくらでも複製が可能な工業製品にも通じ、デジタルな世界と消費社会などの現代性を反映した素材ともいえます。

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第2展示室 両サイド《ユニコーンの角》2と3

3回にわたりヴェンチューラ展についてご紹介してきましたが、展覧会のほかにも、当館では敷地内にある隈研吾建築のガラスのチャペルやジャン=ミシェル・オトニエルの彫刻《こころの門》をご覧いただけるチャペル見学ツアーを開催しています。展覧会のチケットをお持ちの方は無料で参加できますので、是非展覧会と併せてお楽しみください。

(軽井沢ニューアートミュージアム 学芸員 石川なみ乃)

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ジャン=ミシェル・オトニエルの《こころの門》(手前)と隈研吾建築のガラスのチャペル(右後方)

《開催概要》
「ロナルド・ヴェンチューラ展-内省 Ronald Ventura-An Introspective」
【会期】2022年4月10日(日)まで
【会場】軽井沢ニューアートミュージアム 第1~第6展示室(2階)
【企画・主催】ロナルド・ヴェンチューラ スタジオ、一般財団法人Karuizawa New Art Museum、産経新聞社
公式HP:https://knam.jp/

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