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2021年11月25日

「貝殻旅行―三岸好太郎・節子展―」神戸市立小磯記念美術館で好評開催中

日本洋画壇を牽引した三岸好太郎・節子夫婦の、代表作から絶筆まで80点余が集結した「貝殻旅行―三岸好太郎・節子展―」が、20日、神戸市立小磯記念美術館で開幕しました。同館学芸員の辻智美さんが、本展についてご紹介します。

長くひとつのスタイルに留まらず、独自の世界を展開し続けた夭折の画家・三岸好太郎(1903-34)。女性洋画家の先駆的存在として苦難の道を切り拓きながら、重厚な色彩とマチエールに到達した三岸節子(1905-99)。
本展は、好太郎と節子の「出会いから100年」を記念して開催する、約30年ぶりの大規模な二人展です。出会いと結婚、神戸にも訪れた1934年の「貝殻旅行」と好太郎の急逝、その後の節子の奮闘と活躍を振り返りながら、二人の「旅路」をたどります。

[1]三岸好太郎《赤い肩かけの婦人像》1924年 油彩、キャンバス 北海道立三岸好太郎美術館蔵

[1]三岸好太郎《赤い肩かけの婦人像》1924年 油彩、キャンバス 北海道立三岸好太郎美術館蔵

《赤い肩かけの婦人像》[1]は、好太郎が、一人で下宿していた節子の元を訪れて描いた作品で、丁寧な筆致に節子への想いが込められているかのようです。

[2]三岸好太郎《のんびり貝》1934年 油彩、キャンバス 北海道立三岸好太郎美術館蔵

[2]三岸好太郎《のんびり貝》1934年 油彩、キャンバス 北海道立三岸好太郎美術館蔵

《のんびり貝》[2]が売れ、収入を得た好太郎は、節子と二人で「貝殻旅行」と称して関西に赴き、神戸では六甲山のロープウェイを楽しみましたが、節子と行動を別にした2週間後、急逝します。その短い生涯の最後の年に描かれた《海と射光》[3]や《のんびり貝》は、好太郎が目指した、形と色彩が美しく調和する「視覚詩」の開花として私たちを「静かに朗らかな世界」に誘います。

[3]三岸好太郎《海と射光》1934年 油彩、キャンバス 福岡市美術館蔵

[3]三岸好太郎《海と射光》1934年 油彩、キャンバス 福岡市美術館蔵

好太郎の没後、節子は三人の子供を育てながら洋画家として生きることを決意します。子育ての合間に描く作品は室内画が主となり、《静物(金魚)》[4]などが高く評価されました。

[4]三岸節子《静物(金魚)》1950年 油彩、キャンバス 東京国立近代美術館蔵 ©MIGISHI

[4]三岸節子《静物(金魚)》1950年 油彩、キャンバス 東京国立近代美術館蔵 ©MIGISHI

節子は、好太郎が果たせなかったフランスへの旅を実現し、大胆な構図と色彩による風景画[5]で海外でも成功をおさめます。そして、20年を超えるヨーロッパ生活を終えて帰国した後、女性洋画家として初の文化功労者となりました。

[5]三岸節子《アルカディアの赤い屋根(ガヂスにて)》1988年 油彩、キャンバス 一宮市三岸節子記念美術館蔵 ©MIGISHI

[5]三岸節子《アルカディアの赤い屋根(ガヂスにて)》1988年 油彩、キャンバス
一宮市三岸節子記念美術館蔵 ©MIGISHI

晩年、節子は体調不十分な中、自らの名前を冠した記念美術館のために《さいたさいたさくらがさいた》[6]を描き、次のように語っています。

「生命に執着し、執念を燃やす怖さが描けなければ、本当の桜を描いたことにはなりません。今の私なら描くことができます。美しさと怖さとを」

(神戸市立小磯記念美術館 学芸員 辻 智美)

[6]三岸節子《さいたさいたさくらがさいた》1998年 油彩、キャンバス 一宮市三岸節子記念美術館蔵 ©MIGISHI

[6]三岸節子《さいたさいたさくらがさいた》1998年 油彩、キャンバス 一宮市三岸節子記念美術館蔵 ©MIGISHI

展覧会は来年2月13日まで。同館が所蔵する小磯良平の作品も一緒にお楽しみいただけます。

《概要》
貝殻旅行―三岸好太郎・節子展― (神戸)
【会期】2021年11月20日(土)~2022年2月13日(日)
【会場】神戸市立小磯記念美術館(神戸市東灘区向洋町中5丁目7)
【主催】神戸市立小磯記念美術館、産経新聞社
詳細は公式HPをご確認ください→ https://www.city.kobe.lg.jp/koisomuseum/

[イベント]
■子供のためのワークショップ びじゅつかん大作戦
参加無料、対象:4歳~中学生(未就学児は保護者の同伴が必要)、定員10名、要申込、各日とも14時30分~16時20分

① 12月25日(土)「リースをつくろう」申込締切12月15日
申込URL:https://kobecity-official-event.jp/form/2217

② 2022年1月29日(土)「デコボコな絵をかこう」申込締切1月19日
申込URL:https://kobecity-official-event.jp/form/2218

■学芸員による解説会:毎週日曜日、14時~約30分間、定員25名(当日先着順、整理券を配布)、特別展観覧券(半券)が必要

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